
今回、どのようなシステムを作るのか、要件定義の段階からJ-オイルミルズ様とディスカッションする機会をいただきました。そこで私たちが重視したのが、システムを使う人の視点です。チームでは、お客様の現場の業務の中でどのようにこのシステムが使われるのかを徹底的に掘り下げて考えていきました。
プロジェクトストーリー
J-オイルミルズ × NRIシステムテクノ
2004年に設立された株式会社J-オイルミルズは、味の素製油、ホーネンコーポレーション、吉原製油の3社が経営統合した歴史を持つ食用油脂メーカーです。統合後も旧3社の基幹システムを組み合わせて運用していましたが、各社に蓄積されたデータの活用において非効率な部分が生じていました。全社で標準化された環境のもとで基幹システムを再構築し、業務プロセスを改革していくことが経営上の優先課題となっていました。
株式会社J-オイルミルズの基本構想は、巨大なERP(業務統合パッケージ)を入れるのではなく、ものづくりの現場を支える一連の業務にそれぞれ「最適なシステム」を導入すること。その上で各システムを密に連携させ、一つの基幹システムとして運用できる環境を目指しました。STEP1からSTEP3にいたる大規模プロジェクトの中で、NRIシステムテクノは、STEP2「生産管理・購買管理・原価管理システム」の構築・導入を担当しました。
「基幹システムの再構築は、全社一丸となって推進したプロジェクトです。上司と2人体制でプロジェクトマネージャーを務めました。『業務プロセスを変えていく』という経営陣の強い意思を受け、全国の工場でのシステム切り換え・業務への定着に向けて取り組みました」
「味の素グループのお客様を担当し、アプリケーションシステム開発プロジェクトにおいて主にプロジェクトマネージャーを務めています。さまざまなスキルやバックグラウンドをもつチームのメンバーを支援しながら、システムを作り上げていく役割に魅力を感じています」
今回、どのようなシステムを作るのか、要件定義の段階からJ-オイルミルズ様とディスカッションする機会をいただきました。そこで私たちが重視したのが、システムを使う人の視点です。チームでは、お客様の現場の業務の中でどのようにこのシステムが使われるのかを徹底的に掘り下げて考えていきました。
要件定義はとても重要なので、時間をかけて議論を重ねましたね。再構築するからには、今後10年は使える基幹システムにしようとの狙いもありましたから。
もともと前身である味の素製油様の基幹システムでも「生産管理・原価管理」の部分は弊社がお手伝いしていました。社内に蓄積されている貴社の業務に関する知見をできる限り吸い上げて、提案させていただきました。
ただ、当時はコロナ禍で、ほぼリモートでのやりとりでしたよね。最初にK.Nさんにお会いした時のほかには、対面での打合せの機会を一年ほど設けられませんでした。
お互いのチーム同士の人間関係がまだできていない段階で、ビジネスチャットからコミュニケーションが始まりましたね。たぶん双方ともに、はがゆい部分があったのではないでしょうか。
そうですねぇ…。初めにビデオ会議やファイル共有機能を備えたビジネスチャットツールを入れて、関係者がいつでもやりとりできる「会議室」を設置して環境を整えました。みなさんのおかげでスムーズに活用してもらえたのではと思っています。
関係者が多いプロジェクトであったので、コミュニケーションのあり方を見つめ直す良い機会にもなりました。その意味で、全国の工場に順番に新しいシステムを展開していく最後の1年あまりは、なかなか大変だった記憶があります。
今回はSTEPごと、システムごとに異なるパートナー企業の力をお借りしたマルチベンダープロジェクトでした。K.Nさんのチームにお願いしたSTEP2の「生産・購買・原価管理システム」も、データベースや複数のシステムと繋がっています。このため、システム切り換えでは別のベンダーさんとのきめ細かい情報共有が必要になりますね。
はい、基幹システムに紐づく複数のシステムの詳細は、それを作られているベンダーさんに聞かないとわからないので。切り換え作業をどのように進めたらいいのかを丁寧に確認していく作業が必要でした。それでも何カ所かの工場でシステムの切り換えを経験していくとお互いに慣れてきて、段階的に短時間の打合せで済むようになりました。
継続性を持って効率的に切り換えを進めていただける点は、当社としてとてもありがたいことです。今回、「生産・購買・原価管理システム」に、カスタマイズがしやすく、ほかのシステムとの接続もしやすい『mcframe』というパッケージをご提案いただきました。当社の現場、当社の業務に精通されているからこその提案であったと思います。
ありがとうございます。チームでは「本当に現場はそれで動けるの?」「次の業務への連携上はこうした点に気をつけるべきでは?」などを常に意識しながら作り込んで提案していました。T.Aさんのお言葉は、メンバーにとってはとてもうれしいものだと思います。
このプロジェクトには、協力会社を含めると、3年間で延べ44名ものメンバーが参加しました。中には、このような大型案件に参加するのは初めてという若手メンバーもいました。人材育成の観点からは、「プロジェクトを最後まで一緒に走り切る」という経験から得られるものは、とても大きかったと感じています。
それは私たちの会社も同じですね。全国の工場も含めれば、50名以上の社員が直接プロジェクトに関わっていたと思います。
多くの若手が、もっとお客様の業務に目を向けたいとか、運用を意識してシステムを設計したいといった気づきを得た印象があります。若手メンバーにとって、これまで以上に広い視野でプロジェクト全体を見ることの重要性や、どうすればプロジェクトをリードできるのかを考えるきっかけになったようです。
K.Nさんご自身も、いろいろ気づきを得たプロジェクトだったのでしょうか。
今回の案件は、私がこれまで扱った中で最も大きいサイズのプロジェクトでした。大型プロジェクトでは、どうしてもチームのどこかで作業が遅れてしまう局面が何度かあります。できるだけ早く状況を把握して適切な対策を講じることが、プロジェクトマネージャーの重要な役割なのだと再認識しました。
今回のプロジェクトに伴走させていただいたことで、今後も引き続きJ-オイルミルズ様の「生産・購買・原価管理」領域のサポートが可能となったと考えています。さらには、販売や物流のシステムなど、ご支援する領域を広げていく機会もあればと思っているところです。
私たちは、NRIシステムテクノさんを重要なパートナーだと考えています。社外に「開発業務を委託する」という発想ではなく「社内の情報システム部の人員だけでは足りない部分を一緒に運営しましょう」という考え方です。ですから、お互いに気づいたこと、改善すべき点などを提案し合えるような関係になりたいですね。
当社の考え方としても、クライアントとSIerという従来の関係ではなく、「IT共同体」として、今まで以上にお客様と一体となって、IT戦略やDXを推進していくことを目指しています。
そのためにも、ざっくばらんにいろいろ指摘してほしいですね。今以上にJ-オイルミルズが目指している事業のこと、業務の現場を知っていただき、一緒に取り組むという意識を醸成していただければ、と思っています。
私は、システムを使う人の気持ちを理解して、「なぜこのように作るのか」を考えることを大切にしています。J-オイルミルズ様とのお付き合いが、今後もそのような形で継続できて、将来的に御社の収益創造にまで貢献できるような仕事ができればと思います。それができるNRIシステムテクノに、私は魅力を感じています。